感染者情報開示の縮小
これも「ウイズ・コロナ」に至る過程なのだろうか。
新型コロナウイルス感染者の発生に関する公の情報開示が「縮小」している。
片手間で済ませる作業になっているのか。
知らせるまでもない、ありふれたことにしたいのか。
耳に入らないよう目に触れないようにしたいのか。腹の中のあまのじゃくがのっそり鎌首をもたげる。
日々の感染状況は県が公表する。症例1件ごとだったが、2月に大幅に簡素化され、保健所別や全県の合計人数が中心になった。
感染者急増に伴う保健所の業務負担増大が理由だった。
4月下旬、問い合わせ先が「県新型コロナウイルス感染症対策本部保健医療対策部広報班」に変わった。
先日、広報班とは「毎日交代で来て『紙』(公表用の資料)を作って、報道対応をする」のだと知った。
電話口の職員は本務ではなく、「紙」以外は承知しない。
県人事課は県職員が感染した場合の公表基準を変えた。
4月はざっと数えて80人を超えたが、大型連休からは発表ゼロである。
さて、能代市は。
市教育委員会は今月6日、感染に伴い学級閉鎖などの措置を講じた学校名を公表しないと決めた。
これに「合わせる」と、市子育て支援課は臨時休業等とした放課後児童クラブと保育所の名称を公表しないとした。
当事者への配慮は当然だが、実際を不明瞭にする情報の抽象化や骨抜きは、何を生むのだろう。
慣れか、無関心か、詮索か、素知らぬ振りか、はたまた日常化か。
報じることが悪のようにも言われる昨今なのだが、「コロナの話」をお日さまの下で声を潜めず話せるようになる日が来ればと思う。
(渡)