ノーマスクでの第一声
能代山本入りしたある候補者は、白い手袋の両手を前方へ差し延べ、沿道の有権者に駆け寄った。
笑顔の視線は真っすぐに、その両の手はグーに握らず、パーに開いて。
ためらいなく「両手で握手」を求める姿は、久しぶりに拝見した気がする。
参院選の秋田選挙区は、6人が1議席を争う熱戦の真っ最中だ。
新型コロナウイルスが脅威となり3年目、国政選挙も地方選挙も合わせると、能代山本地域では何度目の選挙だろうか。
感染予防策として、候補者と有権者の触れ合いは「両手でしっかり握手」から、グーや腕でのタッチになり。
屋外でもマスクやマウスシールドを着けて演説したり。
「3密」回避の以前に、そもそも人が集まること自体がいかがなものかと、地元の小集会さえ見合わせたり。
今回もコロナ禍の選挙だが、握手復活以外にも変化を感じた。第一声の様子を報じた弊紙の写真を見ると、候補者6人全員がノーマスクでマウスシールドもなし。
それは、感染防止対策の緩みではなく、必要な対策の要点が分かったからだろう。
マスクは飛沫(ひまつ)感染防止のため。
厚労省によると、マスク着用が推奨されるのは、屋外の場合は「他者と身体的距離(2㍍以上を目安)が確保できない中で会話を行う場合のみ」。
第一声は屋外、聴衆との距離も十分だったろう。
握手かグーか。遊説中にマスクをするか、しないか。
候補者の考え方や有権者との接し方、場面にもよると思う。
ただ、マスクは、外せる時は外して構わないんですよ、という共通認識を、お互いに持ちたいもの。
高温多湿の長丁場、熱中症対策と感染防止を両立させ、どうぞ存分の戦いを。
(渡)