物価高議論ないがしろ?
米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」が今月、一斉に値上げされた。能代市内のスマホ売り場をのぞくと、20万円を軽々と超えるモデルも。
そろそろ機種変しようかと色気を持っていたiPhoneユーザーの当方だが、当面の凍結を即決した。
この値上げ、要因は言わずと知れた円安の進行からだ。
今月はiPhoneに限らず、食パンや小麦粉、食用油など材料の国産率が低い商品を中心に値上がりした。
本紙は先月、参院選の争点の一つだった物価高の背景や今後の動向を探るため、経済学者の荒井壮一さん(秋田大学教育文化学部講師)を取材。
その中で荒井さんは、今の物価高は2013年以降の経済政策「アベノミクス」の第1の矢である日銀の異次元金融緩和と無関係ではなく、円安を止めるために日銀が金利の引き上げや大量に保有する国債などの売却を進めれば、日本はたちまち混乱に陥ると解説。
「アベノミクスの妥当性を検討すべきだ」と指摘した。
その政策を主導した安倍晋三元首相が8日、凶弾に倒れた。
事件当日、テレビは特別番組を長時間編成し、参院選の開票番組でも大きく扱われた。
追悼ムードの中、長期政権を築いた「実績」が前面に打ち出され、同氏の「功罪」についてはひとまず置こうとの〝忖度(そんたく)〟が今、社会全体から感じられる。
そうこうしている間にも円安・物価高は進み、国民生活はさらに痛めつけられている。
それなのに政府は、国費を投入した安倍氏の国葬実施を即決。
野党も一部を除き、反対はしていない。
物価高の議論も選挙が終わって消えてしまった。
何かおかしくはないか。
(平)