「号外」発行した夏

全国高校野球選手権秋田大会の決勝が行われた日は、朝から落ち着かなかった。夏の甲子園を懸けた一戦に能代松陽が勝てば「号外」を発行することになっていたからだ。

準備したのは通常の新聞紙面と同じ大きさのブランケット判の両面刷り。
これを出すと、同校の前身・能代商が甲子園に出場した時以来となるので11年ぶり。
同校はこの間も、何度か甲子園に手が届きそうな時があった。
そのたびに途中まで制作した号外が、敗戦によってお蔵入りしてきた。

秋田南との決勝が始まる前には、写真と記事を入れるだけに号外を仕上げ、同僚らと共に試合をテレビ観戦。
先制されるも、すぐに同点、逆転。
現地から写真が届き、あとは勝利の記事を待つばかり。
能代松陽ペースだが、「まだ油断はできない」と声が上がった。
10年前の能代商と秋田商の決勝が脳裏をよぎる。
9回2死から2点差を逆転された試合。
号外は完成直前でボツとなった。

心配は無用に終わり、号外を無事に出すことができた。
翌日から編集局は「いざ甲子園」「頑張れ!NOSHO」「私と甲子園」などの取材、制作に追われた。
「能代の花火」や「七夕ウイーク」があったりと、いつも以上に慌ただしい夏となったが、貴重な経験をした。
選手たちの活躍に感謝したい。

甲子園では、残念ながら1回戦で埼玉代表の聖望学園に2-8で敗れた。
実は、勝利を想定し号外を用意していた。
「能代松陽 初戦突破」──。
今回はかなわなかったものの、チームの主力には2年生も多い。
「来年こそは」と、頑張ってほしい。

(工)

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