夏草に見る地域の今

雨の多い夏だったせいか、街なかは歩道も車道も、とにかく雑草が多く、しかも背丈が高い。
程度の差こそあれ、夏はこんなものだろうが、多雨のせいだけではないものにも気付いた。

先日、久しぶりに三種町内で八郎湖東部承水路の堤防沿いを歩いていると、ふと、こんな姿であっただろうかと思い至った。
というのも、もう随分昔のことになるがかつてブラックバス狙いの釣り人に話を聞くために東部承水路に足を運んだ際には、難なく土手を乗り越えて承水路側と行き来できた記憶があるから。
それが今では雑草が勢い良く伸び、土手を登るポイントを見つけられないほど。
しかも道路沿いにはごみが散乱するありさまで、「荒れている」という表現がぴったり。

地元の人によると、以前は町内の建設会社の社員たちがボランティアで土手の雑草を刈ってくれていたそうだが、建設会社が解散した後はそうしたボランティアもなくなり、かといって幹線道路でもないせいか代わりに引き受ける人もなく、雑草が伸び放題。
雑草が成長して、もはや木と呼べるものも少なくない。「ウオーキングや犬の散歩コースとして使われることも多くて、犬も土手を登り降りして楽しそうだったんだけどね」とは地元住民。

手を掛ける人がいなくなると、あっという間に見た目が荒れてしまうのは建物であれ堤防であれ同じらしく、加えて、町の景観は住民たちの無償の厚意の積み重ねで守られているものも多いと教えてくれる。
人口減少が止まらない時代の町づくりの在り方を考えさせられるようでもある。

(岡)

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