「死に票」の願い、生かして

「死に票」あるいは「死票」。
嫌な言葉だが、当選に結び付かなかった票のことを差す。
9日投開票が行われた県議選の能代市山本郡選挙区では、有効投票のうち36.9%を占めた。
能代市に限ると46.2%に達した。
それだけ接戦・激戦だったということだろう。

能代市選挙区と山本郡選挙区が合区された平成19年から数えて5回目(29年の補欠選挙を除く)で、〝死に票率〟は選挙区全体も能代市も過去最高を更新。
藤里町も12.8%で過去最高だった。三種町は今回17.6%、過去最高は23年の28.2%。八峰町は今回が27.0%、過去最高は27年の33.5%。

19年と23年は定数4に対して7人が出馬し、27年は6人、31年は5人。
その時々で選挙情勢は異なるが、今回は定数という大本が1減の3となり、候補者は現職4人と新人1人の計5人。

このうち3人が能代市能代地域に地盤を持ち、同市における得票1位と2位と3位。
そのうち1位と3位が涙をのみ、投じられた票が「死に票」となった。
2人とも自身の得票の8割超を同市で集票し、その数(小数点以下切り捨て)は合わせて1万1592票。
選挙区全体では1万4142票。

果たして、その票に込められた願いも「死んだもの」として捨て置かれてしまうのだろうか。
当選した3人にとっては、自身を支持しなかった一票で、批判票も当然含まれるだろうが、能代山本という同じ地域に暮らす有権者が投じた貴重な一票には変わりない。
その重みを大切にぜひ生きた票とし、各自の行動や政策にくみ取る度量と器量を存分に発揮してほしい。
任期は4月30日に始まる。

(渡)

関連記事一覧

error: Content is protected !!