洋上にタイムカプセル

能代港の洋上に立つ風車に、今春の小学校卒業生が未来の自分へ宛てて書いた手紙などを入れたタイムカプセルが収められた。
国連がSDGs(持続可能な開発目標)の数値目標達成を目指し、子どもたちが20歳を迎える「2030年」に開封しようと、風力発電所の管理会社が企画。
能代市内7校それぞれ1基が割り当てられ、今月中にすべて収納を終えるという。

かつて、タイムカプセルの埋蔵や開封を何度か取材したが、開封の際は、いずれも発掘に苦労していたのを思い出す。

平成15年8月に、昭和59年の藤里町藤里小卒業生たちが卒業記念で校舎脇に埋めたカプセルを開封した時は、発見まで2時間近くを要した。
「20年後に開けよう」との約束で、当時の担任教諭も駆け付け、記憶をたどり埋設場所を掘る作業を進めたものの、難航。

三種町内の小学校で、卒業時に埋めたカプセルを成人式の時に開封した際も同様だった。
関係者は皆、「記憶」はあいまいで、何か「記録」が必要だったと反省していた。

以前、市内の男性から旧渟一小が創立100周年を迎えた昭和49年ごろ、当時の6年生がカプセルにさまざまなものを入れ、「100年後に掘り起こそう」と、校舎の桜の木のそばに先生たちが埋めたようだが、場所が分からなくなっているとの話があった。

男性は「のちに万一、掘り起こしてカプセルが出てきたときに『何これ』とならないよう、埋めている事実を、誰かが語り継いでいかねば」と心配していた。

洋上風車に収めた「宝物」。場所は目に見え探すことはないだろうが、語り継いで、忘れずに。

(池)

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