七番勝負の行方は
囲碁の第78期本因坊戦七番勝負第2局が先月28、29の両日、能代市柳町の旧料亭金勇で行われた。
今シリーズに12連覇が懸かる井山裕太本因坊=王座、碁聖と合わせ三冠=。
同市で初めての本因坊戦は9年前の平成26年(第69期)だから、金勇で打たれた5度の全対局に臨んだことになる。
一方、挑戦者は伊田篤史九段、高尾紳路九段、山下敬吾九段、芝野虎丸九段(名人・十段)、一力遼棋聖とすべて顔触れが異なる。
今年の挑戦者の一力棋聖は、東北のブロック紙、河北新報社の創業家出身で、トップ棋士でありながら新聞記者の肩書きを持つ「二刀流」としても知られる。
同紙に執筆しているコラムがおもしろい。
最近では、年末年始の約10日間を除きオフシーズンがないという「棋士の一年」に感心した。
ほかにも2022年は女性の躍進が目立ったとし、この年に金勇の女流本因坊戦で対戦した藤沢里菜六段(女流本因坊)や上野愛咲美四段(女流名人・女流立葵杯)らを取り上げたり、さらには碁盤と碁石、タイトル戦の裏側、師弟関係など、興味深い内容を素人にも分かりやすく紹介している。
その一力棋聖が金勇での対局を制した。
これで2連勝となり、初の本因坊獲得にさらに一歩前進。
しかし、まだまだ七番勝負の行方は分からない。
第76期(令和3年)で芝野九段と対戦した井山本因坊は、金勇での第2局から3連敗を喫し、1勝3敗のカド番に追い込まれてからの3連勝でタイトルを守っている。
第3局は6、7の両日に東京の神田明神で行われる。名局を期待する。
(工)