あの草の名は

庭に作ったささやかな家庭菜園の収穫が忙しくなってきた。
素人には食べ頃の見極めが難しく、タイミングを逸してしまうことがよくある。
そのため日々の観察が大事と心掛けている。野菜を見ていて、気になるのが雑草だ。
その成長の早さには驚く。
抜いても、抜いても生えてくる厄介者に手を焼いている。

NHK連続テレビ小説「らんまん」で、主人公の槙野万太郎が「雑草ゆう草はないき。必ず名がある!」「まだ見つかってない草花ならわしが名付ける!」と植物への思いを熱弁する印象的なシーンがある。

主人公のモデルは、植物学者の牧野富太郎博士(1862~1957年)。
94年の生涯で約40万の標本を採取し、新種や新品種など1500以上の植物に名を付けたことで知られる。
トラノハナヒゲ、オトコラン、オオイヌノフグリ、ハキダメギク、ワルナスビなどユニークな命名も多く、スエコザサは妻の名にちなんだものだという。

植物には正直疎い。雑草という言葉でくくり、迷いなく駆除してきた草の名を調べると、よく抜いているコニシキソウは1895年に牧野博士が東京と横浜で発見した北アメリカ原産の帰化植物だということを知った。

草の名を調べるのにはインターネットを駆使。膨大な画像の中から同じものを探し出す。
わが家の庭にはカタバミ、スギナ、スズメノカタビラ、オオバコ、スベリヒユ、メヒシバなどが自生しているのが分かった。
結構な種類だ。判然としないものがまだ幾つもある。すべての名を特定しようと思う。牧野博士になった気分で。

(工)

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