ナカジマジックの「タネ」
プロ野球日本シリーズは阪神タイガースが制し、38年ぶりの日本一に輝いた。
第7戦までもつれた頂上決戦、北秋田市出身の中嶋聡監督率いるオリックスバファローズの健闘も光った。
中嶋監督は鷹巣農林高から昭和61年のドラフト3位でオリックスの前身の阪急ブレーブスに入団。
強肩捕手として、西武、横浜、日本ハムと移籍し、両リーグ最長となる実働29年の記録も残る。
現役時代、地元の鷹巣に帰郷した際や公式戦で秋田入りしたときなど、何度か取材の機会があったが、多くを語らず朴とつとした受け答えは今もそのままだ。
秋田市の八橋球場で能代市出身の高橋功一投手とバッテリーを組み、そのベンチには同市出身の山田久志投手コーチがいたのを思い出す。
日本ハムのゼネラルマネジャー特別補佐、同球団と業務提携を結ぶ大リーグのサンディエゴ・パドレスへの派遣、日ハムコーチなどを経てオリックス2軍監督に就任、令和2年途中から1軍監督代行、翌季から監督として采配を振るうと、最下位だったチームがそこからリーグ3連覇。
いずれも日本シリーズに進出、昨季は日本一となった。
普段から2軍の試合もチェックし、目に留まる選手がいればすぐに昇格させて起用、選手を育てながら「全員野球」で勝つ野球で、リーグ戦は143試合で141通りの打順を組んだ。
若手のやる気や中堅・ベテランの緊張感を引き出し、常に最善を尽くす戦術だ。
「ナカジマジック」と称される采配には、日頃から選手1人1人に目配り、気配りするという「タネ」がしっかりある。
(池)