できるだけの支援の手を
天気のいい日だった。
取材して帰社し、原稿を書き終え、一息ついたころのこと。ほかに誰もいない報道部のテレビからアラームが鳴った。
緊急地震速報だ。よりにもよって元日に。いや、自然は日取りを選ばない。
能登半島を最大震度7の地震と、津波が襲った。被災の全体像をつかめないまま三が日が明け、15日で2週間が経過した。
石川県の2~15日の資料から、被災状況を、ほんの一片知る。
市町設置避難所の避難者は、発災翌日時点で全県19市町のうち16市町3万1811人、4日が最多の14市町3万3530人、15日時点は15市町1万6742人。
その99~97%を能登北部と能登中部の9市町が占める。
3市町は最長1週間、半数以上の住民が避難所に身を寄せた。
孤立集落は、合計数が初掲載された8日時点で北部4市町の24地区3345人、15日時点は3市町15地区415人。
避難も復旧も相当の長期に及ぶことは想像に難くない。
何はさておき、この厳冬期をどう乗り越えるのか。
集落の孤立解消は安堵(あんど)だが、再建の道筋は果たして描けるのか。
能登中部以北の高齢化率(4年10月1日現在)は50%台が3市町、40%台が5市町、1町は30%台。20%台が9市町もある石川県では高齢化が進む地域だ。
わが能代山本4市町は42.4%~49.7%(同)。人ごとではない。
能代山本からも被災地へ支援に駆け付けている人たちがいる。
見聞きしたこと、考えたことを、身近な人へ、できれば広く地域へ、話してほしい。
被災地の苦境に思いを致し、できるだけの支援の手を。そして、少しでも、いつか必ずやってくる「その日」への備えを。
(渡)