オンライン会議なぜ?

 新型コロナウイルス禍の置き土産なんだろうな、と思う。会議の出席者が集まらない・対面しないオンライン会議。会場に行かずとも傍聴できるオンライン配信。移動が省けて便利なのだろうが、さて。

 オンライン開催が続く会議の一つに、県の地域医療構想調整会議がある。傍聴は、というと、オンライン配信はない。秋田市の県庁へ行き、そこに置かれたモニター越しに委員の顔を見て発言を聞くしかない。構想が現場とする「地域」に、その場はなくなった。

 地域医療構想とは。「医療機関の機能分化・連携を進め、良質かつ適切な医療を効率的に提供できる体制の確保」を目的とし、本県は平成28年10月策定。八つの2次医療圏(当時)を構想区域とし、団塊の世代が75歳以上になる2025年の病床数の必要量を記載。構想区域ごとに調整会議が設置され、関係者が集まって協議し、その場で傍聴できた。コロナ禍前は。

 リアル開催がなくなり、傍聴場所は全県で1カ所。主催者に排除の意思はない(たぶん)が、そこが60㌔先だろうと100㌔先だろうと、知ったこっちゃないんだろう。情報は遠くなった。県民は情報から遠ざけられている、とさえ思う。

 今年は現構想の目標年次に当たる。国は新たな構想は2040年に向けたもので、医療計画の「一部」ではなく上位概念に位置付け、令和9年度から順次開始とする。本県の人口減や高齢化は一層進み、医療資源は限られ偏在し、2次医療圏は三つに再編・広域化された。厳しさを増すであろう「地域」の医療提供体制の議論は、この先も、地域から、県民から遠いところで、進めるのだろうか。

(渡)

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