「セブンイレブン」の噂

 大手コンビニチェーンの「セブンイレブン」が能代市に進出する噂(うわさ)が広がっている。同市は県内13市で唯一セブンの店舗がない。平成24年に初出店した本県では秋田市を中心に現在125店舗が営業しているが、能代山本地域は長らく「空白地帯」となっており、新規出店に期待が膨らむ。

 セブンは秋田市に51店が集中し、次いで横手市15店、大仙市13店、由利本荘市12店と続く。県北地域は大館市6店、鹿角市4店、北秋田市1店。県内で未出店なのは能代山本のほか、小坂町、井川町、上小阿仁村、東成瀬村にとどまる。

 セブンは特定の地域に集中的に出店して物流を向上させるドミナント戦略を展開しており、能代進出に関しては「3~5店舗が一気に来るらしい」「具体的な出店場所を探している」とささやかれている。北秋田市や大潟村など近隣にセブンの物流網が築かれ、日沿道の開通も迫ることで、空白地帯への進出が現実的になったと考えられる。

 真偽を確かめるため、セブン&アイホールディングス広報センターに直接問い合わせた。担当者は「能代市への出店意欲はあるが、具体的な出店時期や出店数は正式に決まっていない。準備が整えば出店したい」と回答した。

 同社が公式に「出店意欲はある」「準備が整えば出店したい」と明言したことから、能代市をビジネス上の可能性がある地域と捉えていることがうかがえる。ただ、慎重な言い回しからは出店を急ぐよりも、市場調査や事業準備などを徹底して行う姿勢が読み取れる。

 セブン進出により住民の利便性は向上し、新たな雇用が生まれる。一方でセブンは競合他社の参入を防ぐ戦略を貫いており、コンビニやスーパーなど同業他社との競争激化が予想され、地元店にとっては脅威ともなる。

 コンビニは成長の踊り場を迎え、事業の再構築が求められている。出店競争が激化して国内市場はほぼ飽和状態にあり、新規出店で売上増が見込みにくい状況だ。人口減少で市場規模も縮小する中、生き残りをかけた戦略を描くセブン。能代進出の行方が注目される。

(若狭 基)

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