味付けと盛り付け
4月、報道部から整理部へ異動になった。入社28年目にして初の部署。報道部と同じフロアにあり、座席も10㍍ちょっと動いただけだが、日々の仕事の中身はガラっと変わった。
内勤になったのもそうだが、一番は「使う頭」が変わったこと。原稿を出す側だったこれまでは、取材した内容をいかに簡潔にまとめるかに腐心する日々だったが、今は上がって来る原稿を一読し、記者を介した取材相手の思いをくみ取り、それに合った「見出し」を付けていくのが仕事。その見出しは1本当たり概ね10字以内が慣例で、そこに収めようとする頭の使い方は、俳句や川柳を作る感覚に似ている(普段作っているわけではないですが…)。
整理のもう一つの仕事が、紙面への記事の割り付け。見出しの段数が最も大きい記事を原則右上に、2番目の記事を左上に置きつつ、写真や図、コラム、1段見出しのベタ記事などを織り交ぜ1枚の紙面を完成させる。ただスムーズに組み上がったことはほぼなく、「数行がどうしても収まらない問題」に日々直面。毎日の夕方は、自分にとって難しいパズルを解いているかのような時間だ。
異動から9カ月、新聞製作とはある意味「料理」だと思うようになった。その中で整理は、素材ハンター兼シェフの記者が調理(執筆)してきた一品(記事)に仕上げの味付け(見出し)を施し、紙面という器に盛り付け(割り付け)する役回り。取材先の思いであり、この地域の「記録」としても残る記事を、まずい味付けと読みにくい紙面で台無しにはできない。スキルはまだ全然だが、その心得だけは自らに課しているつもりだ。
そんなこんなで北羽新報はできています。けさもあしたも、来年も。ぜひお召し上がりください。
(平川 貢)