事業の行方を注視

 2年前の小欄で、他自治体よりも遅れていると指摘した能代市の子育て支援策。ここに来て、動きが活発化している。

 5年に医療費を無償化し、今年は0歳児を育てる家庭に育児用品を配達し始めた。来年度には学校給食を無償化したい考えなほか、能代河畔公園を整備候補地とする「こどもまんなか交流施設」の基本計画を策定し、機能や規模、概算整備費を取りまとめるという。

 斉藤市長は給食費について、12月議会で「より子どもを産み育てやすい環境づくり」として行いたいとした。9月議会で「市単独では難しい」としていたので、青天の霹靂(へきれき)。「他がやっていないことを先駆けて行うべき」という思いは置き、小学生2人を育てる身としてまずは「助かります」と言わせていただきたい。

 一方、人口4万7千人台の能代市で、小中学生の人数は2400人台にとどまる。各支援策にどんな意義があり、どんな効果が見込まれるか明らかにし、世代や立場を超えて理解が得られるようにしてほしい。特に交流施設については中途半端なものを造らず、孫育てのジジババも楽しめるようにするとともに、物販による経済効果なども目指し、直接の子育て世代以外にも恩恵をもたらしてほしい。

 財源問題も見逃せない。給食費の無償化では新たに年間1億円の支出が生じ、交流施設の整備にも相応の金額が必要なはず。岐阜県郡上市は給食費無償化のため100歳の祝い金を廃止することを検討していると報じられた。子育て支援に注力する一方、何かの事業が廃止・縮小されないか注視する必要がある。

 職員等の人件費アップに貯金(財政調整基金)を使うほど“余裕”のある能代市では大丈夫かとは思うが、来年3月議会では活発な議論を願う。

(山谷 俊平)

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