ハタハタモード
秋田名物八森ハタハタが少量ながら、ようやく揚がった。県漁協北部支所管内の季節(沿岸)ハタハタ漁は18日に八峰町の八森漁港で約7㌔の水揚げがあり、19日に「初漁」となる見通し。ようやく訪れた知らせに、ほっとした。
沿岸漁は例年、12月上旬にシーズンで初めて競りに掛けられ、初漁を迎える。しかし、今年は12月10日を過ぎても音沙汰はなく、沖合漁もしけで出漁できない日が続く。やきもきしながら八峰町の漁港や能代市の能代港に足を運んでいた。
初漁、そしてまとまった量が揚がる「大漁」を迎えると担当記者にとっては漁港が主戦場となる。迫力の水揚げシーンを写真に収めようと気合を入れたものの、寝坊して駆け付けた時には漁が終わっていたり、間に合って喜ぶのもつかの間、作業で忙しくしている漁師に「取材は後にしてくれ」と注意されたりと朝からバタバタと過ごす。
今季はそうした活気を感じることなく、焦りや寂しさが募っていた。そんな中、まずは初漁の見通しに胸をなで下ろした。
八森漁港で操業する刺し網グループの協力を得て先日、早朝から漁の現場を取材させてもらった。いつ揚がるのか分からないから、漁師は日々海に出て仕込んだ網を確認する。男性漁師の「気が休まらないよ」との言葉に実感がこもる。
その一言に共感できる。11月下旬の網入れから徐々に〝ハタハタモード〟に入り、「初漁は逃さない」と気を引き締めて漁港に向かう。疲労を感じてしまうことも少なくないが、接岸を信じて待つしかない。
間もなく、漁に区切りを付ける漁師が多いという冬至(21日)を迎える。漁師の活気あふれる様子を写真に収められますようにと願い、港に車を走らせる。
(山田 直弥)