特殊詐欺に注意を

 「お客様の携帯電話が本日で利用停止されました。詳しくは『1』を押してください」。先月28日、自宅の固定電話の留守番電話に自動音声ガイダンスが残されていた。ナンバーディスプレーに表示されている「62」から始まる11桁の番号を見て、はっと気付いた。「県内で相次いでいる不審電話だ」と。

 固定電話や携帯電話に発信される自動音声ガイダンスを使った「アポ電」は全国的に多発傾向にあり、能代署管内では先月27、28両日だけで24件の相談があった。ただ、同署などに届け出なかった人は一定数いたと考えられ、アポ電の着信があった人はさらに多かったのではと思う。

 同署によると、ガイダンスに従ったところ、電話会社の社員や警察関係者を名乗る人につながり、個人情報や保険証の有無などを尋ねられた人もいた。過去には、未納料金や手数料、示談金などの名目でATM(現金自動預払機)やコンビニ店に誘導し、現金を振り込ませたり、電子マネーを購入させた後に利用に必要な番号を教えさせて利用権をだまし取ったケースもあり、注意を呼び掛けている。

 今回の一件を振り返り、これまで毎月のように取材して原稿を書いてきたが、実際に電話がかかってきたことはなく、半ば「人ごと」と捉えていた。しかし当事者となったことで不審電話、ひいては特殊詐欺が想像以上に身近で、誰もが被害を受ける可能性があると痛感させられた。

 新たな年まで残り2週間。特殊詐欺は年末年始に増える傾向があり、能代山本でも今後被害が出ないか心配される。自分自身や家族を守るためには「怪しい電話は絶対出ない」「警察や身近な人にすぐ相談」が肝要。誰もが晴れやかな気持ちで新年を迎えられますように。   

(藤田 侑樹)

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