「読者が主役」の記事を
4月に入社し、はや8カ月。気が付けば桜どころか雪が舞っている。
昔から友人とは「地元が好き」と口をそろえるも、県外で過ごした大学時代は「(地元は)田舎で何もない」と話してきた。本当にそうか。大学時代は長期休暇に帰省し、家族や友人と出掛けた。そのたびに「あの店なくなったんだ」、「こんな所にこんな店があったのか」と思うことが多く、地元うんぬんを言えるほど、地元について何も知らなかったことに気が付き、北羽新報社の記者を志した。
入社当初、人見知りの自分にとって取材することは不安で仕方なかった。緊張してうまく声を掛けることができず、不審に思った人もいたであろう。「自分は記者に向いていない」と落ち込む日もあったが、振り返ると、先々で出会う人たちにこそ助けられた。
〝北羽新報〟と記された腕章を下げて取材に出ると、ありがたいことに「北羽さんね!」「きょうもよろしく!」と新顔の私を気さくに受け入れてくれる。聞く話は勉強になることばかりで、地元に生きる人の声の重みを感じる。また受け入れてもらうたびに先輩方が築いてきた信頼をしみじみと実感する。
取材が終わると帰社し、原稿を書く。能代市教委が公表した全国学力・学習状況調査の分析結果の記事も書いたが、教科ごとに示された指導のポイントのうち中学校国語には、目的や伝えたいことを明確にし、適切で正確な語句・表現を選ぶ──など、自分に向けたアドバイスかと勘違いしてしまうほど丁寧な文章の書き方が記されていた。
筆者は理解できても、他人が読んだときに伝わらないことがある。「読者が主役」であることを念頭に、誰が読んでも分かる記事を書く記者になりたい。
(牧野 大雅)