日本最古の水洗トイレ

 秋の休日、ドライブがてら秋田市寺内の「秋田城跡」(高清水公園)に出掛けた。秋田支社勤務時代、何十回と近くを通りながら一度も立ち寄ったことがなかったが、「日本最古の水洗トイレがある」と聞いたという家人からの提案で、初めて目的地に定めた。

 秋田城は奈良~平安時代の地方官庁で、出羽国北部の軍事、文化の中心地としても栄えたとされる。昭和30年代の国営調査や47年以降の秋田市による発掘調査で数多くの倉庫や鉄製品を造る工場、役人や兵士の竪穴住居、井戸などが見つかり(水洗トイレも!)、その成果を基に城跡の環境整備も進められてきた。

 そうした予備知識もなく向かったわけだが、そこで得た感動は想像を上回るものだった。現在までに政庁や外郭の門・塀、城内の大路などが復元されており、古代秋田にタイムスリップしたかのような気分が味わえた。

 お目当ての「古代水洗厠舎(かわや)」は、本物の公衆トイレと見まがうほど立派な建物でびっくり。また便槽の土の分析から、使用していたのは大陸からの渤海使だった可能性があるとか。全国の史跡でも類を見ない水洗トイレの存在は、当時この地がわが国の東アジア外交の窓口だった証左でもあり、「秋田、すげー」との感情が自然に湧いた。

 城跡といえば、能代の檜山城跡でも市教委による発掘調査が進む。成果は現地設置の解説板などで紹介するとのことだが、建物の復元は無理でも今の時代ならVR(仮想現実)技術で見せる、などはできるはず。今後の環境整備に、多くの人が足を運びたくなる仕掛けづくりはぜひ欲しい。

(平)

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