秋色に染まる2024 まち・里山編⑭
一帯が黄色まぶしく 銀杏山神社(能代市二ツ井町)
能代市二ツ井町仁鮒にある銀杏山神社は、3本の大イチョウが色づき、境内を黄色に染める季節を迎えている。暖かく晴れた日が続いた今秋だが、冷たい雨に交じるあられは、冬が近づいてきていることを告げる。
銀杏山神社は、阿倍比羅夫が蝦夷征伐に遠征してきた際、戦勝祈願のため建立したとされる。1300年以上の歴史に思いをはせながら神社を参拝した後、階段を下りていくと、県指定の天然記念物に指定(昭和30年1月24日)されている3本のイチョウの巨木が参拝者を迎える。
手前の樹高36㍍余りという巨木は「乳柱のイチョウ」と呼ばれ、気根が乳房のように垂れ下がり、母乳の出に悩む女性が願を掛けたとされる。もう少し奥へ進んだ所には、2本が根元近くの枝でつながっている「連理のイチョウ」がある。幹の周囲を息を止めて「8」の字に3周回ると良縁がかなうとの言い伝えも残る。
木々に囲まれた静謐(せいひつ)な空間は、普段は日中も薄暗さを覚えるが、大イチョウが色づく晩秋は、目にも鮮やかな景色に変わる。今後、落葉が進めば、地面は散り敷いた葉で黄金色に染まる。彩りの季節は残りわずか、いよいよ本格的な冬が駆け足でやって来る。
(渡部 祐木子)