秋色に染まる2024 まち・里山編⑪
歴史ファンを魅了 檜山城跡(能代市)
戦国大名・安東氏の本拠跡として知られる能代市桧山の檜山城跡。秋が深まるにつれて通称「本丸」や通称「三の丸」など遺構各所にあるイチョウやモミジなどの木々の葉が黄色や赤色に染まり、市内外の歴史ファンを楽しませる。
檜山城は中世に県北部一帯で勢力を誇った檜山安東氏の居城で、明応4(1495)年に5代目・忠季が完成させたとされる馬蹄型の尾根全体を要害とした山城。天正17(1589)年に、安東(秋田)実季が従兄の安東(豊島)通季と争った「湊合戦」が勃発した際、同城に籠城する実季側は300挺の鉄砲を用いて約5カ月間にわたり、約10倍の通季勢を防ぎ切った「要害堅固の城」と知られる。
慶長5(1600)年の関ヶ原合戦の後、常陸国(現茨城県)から佐竹氏が秋田入りすると家臣の小場氏、次いで多賀谷氏が城代になるが、元和6(1620)年の一国一城令で廃城となった。その後、昭和50年代に城跡は「桧山公園」として整備され、曲輪には吉野桜やドウダンツツジ、イチョウ、カエデといった木々が植栽。秋になると、訪れる歴史ファンの目を楽しませている。
一方でクマなど野生動物が生息する地域であるため、探訪する際は注意が必要だ。
(藤田 侑樹)