秋色に染まる2024 まち・里山編⑩
錦秋縫う白糸 峨瓏の滝(藤里町)
夏には涼を得られる場所として親しまれる藤里町の峨瓏(がろう)の滝も、紅葉シーズンを迎えている。滝つぼを囲うように鮮やかに色づいた木々が広がる秋景色が、訪れた人たちを楽しませている。
白神山地世界遺産センター藤里館から約1・5㌔北側の県道西目屋二ツ井線沿いにある峨瓏の滝は、滝の上流にある峨瓏峡から流れ落ちることから名付けられたとされ、江戸時代の紀行家、菅江真澄が和歌を詠んだことでも知られる。滝の上流や滝つぼ周辺には手付かずの自然が残り、秋には紅葉が美しい場所でもある。
高さ12㍍の滝の周辺では、カエデやイチョウなど木々の葉が赤、黄、オレンジ色へと染まっている。落葉も始まって風に揺られてひらひらと舞い落ち、地面には落ち葉がじゅうたんのように広がり、訪れた人たちを出迎えている。
滝つぼの周りは水が流れ落ちる音が響いており、足を運んだ人たちは滝の入り口の石段から全体を眺めたり、浅瀬に顔を出している石を伝って滝つぼに近づいたりしながら、ごつごつとした質感の岩肌を流れ落ちる水と、色づく木々が織り成している峨瓏の滝ならではの秋景色を、目と耳で楽しんでいる。
地元住民によると今年の紅葉は例年より遅めだといい、これから先もしばらく見頃が続きそうだ。
(岡本 泰)