秋色に染まる2024 まち・里山編⑧

味わい深い景観 旧料亭金勇(能代市)

南側の庭園では、色鮮やかな紅葉が歴史ある建物を彩る(能代市柳町の旧料亭金勇で)
南側の庭園では、色鮮やかな紅葉が歴史ある建物を彩る(能代市柳町の旧料亭金勇で)

 能代市柳町の旧料亭金勇では、庭園の紅葉が歴史のある建物と相まって独特の風情を漂わせ、市内外から訪れる多くの見学者の目を楽しませている。
 国登録有形文化財の金勇は、栄華を極めた木材業界の迎賓館として昭和12年に建築。料亭の役目を終えた後、建物は市に寄贈され、木都の歴史を内外に発信する観光交流施設に生まれ変わった。毎年、多くの見学者を受け入れているほか、イベント会場としても活用されている。
 枯山水の庭園(南側)では、カエデやイチョウ、ケヤキの紅葉が楽しめる。ケヤキはピークを過ぎたが、東側に植えられたカエデは赤や黄が深みを増している。イチョウも黄に色づいており、常緑の木々とコントラストを描いて味わい深い景色をつくり出している。建物北側の庭園ではカエデが真紅に染まり、南側庭園とは一味違った風情が楽しめる。
 金勇の紅葉は、庭園に立って建物を背景に楽しむだけでなく、室内から見られるのも魅力。天井の一枚板が見事な1階・満月の間や、110畳の広さがある2階・大広間に面する通路から、窓越しに南側の庭園を眺めることができる。窓枠を額縁に見立てれば、色鮮やかな絵画のようにも見えてくる。

(川尻 昭吾)

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