読者と共に作る

 「記事は足で書け」と言われる。もちろん、足の指にペンを挟んで書けということではない。現場に出向き、人に会って話を聞き、目と耳で確かめた上で原稿にせよと理解している。言い古された言葉だが、報道の基本中の基本である。

 内勤の記者となった現在、足しげく現場に通うようなことはなくなったものの、電話やメール、ファクスなどで寄せられる読者からの情報提供を受けることにより、取材の端緒に接している。

 受け取る情報は日々さまざま。大きなニュースにつながることもあるが、多くは行事やイベントの事前周知、当日の取材依頼だ。相手との会話では、「前にも取材されています」とよく言われる。過去に記事にしているのだから、「今回もよろしく」ということなのだろう。一度は掲載しているため、こちらも、どういう趣旨、中身なのか、ある程度の想像はつく。なるべく応えるようにはしているのだが…。

 当時は記事にしたとしても、今のニュース性はどうなのか、と考える。まして「内容も前と同じです」と言われた時は、そこに新たな取り組み、何か付加価値が「あれば」と思う。取材を見送るケースもあり、せっかく連絡をいただいたのに申し訳ない気持ちになる。

 行事やイベントが乏しくなる時期が年に何度か訪れる。その影響で出稿量が減り、紙面のレイアウトに苦労するたび、催し物のありがたさを実感する。これからも全国紙などは取り上げないような小さな話題を大事にしたい。地域紙ならではのきめ細かな新聞を読者と共に作っていければ。

(工)

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