アスリートの凱旋報告
「テレビで見るより小さくてきゃしゃだな」。パリ五輪陸上女子マラソンで6位入賞した、大仙市出身の鈴木優花選手(25)の第一印象だ。最大高低差156㍍の五輪史上「最難関」とされたコースで、先頭集団に食らい付き、メダルの期待も抱かせた力走は記憶に新しい。
先月上旬、県庁に佐竹知事を表敬訪問。全国的には無名だった大曲高時代に、世界で戦う自分の姿を想像できたのか聞くと、鈴木選手は「全然、想像できませんでした」と、マラソンのゴール後に見せた輝くような笑顔で即答した。
大学進学後に大きく飛躍した鈴木選手。秋田で走っていた頃を思い返して「1番でゴールする姿をイメージして練習していたことが、今につながっている。努力や苦しい思いは、必ず未来の自分をつくってくれる」と語った。
その数日前には、「金メダル」を持って県庁へ表敬訪問した能代市の高校生がいた。全国高校総体(インターハイ)競泳男子200㍍背泳ぎで、初優勝を飾った白鳥航生選手(能代松陽高3年)。双子の兄・魁生選手(同)と切磋琢磨(せっさたくま)しながら全国の舞台で活躍してきたが、ついに頂点に立った。インターハイ競泳男子での県勢優勝は初の快挙だった。
この夏、パリ五輪の競泳に出場した選手たちが白鳥選手の目にはどのように映ったのか。期待を抑え切れない記者(私)に対し、白鳥選手は「まだ遠い存在です」と冷静だった。
それでも、「日本のトップを争える選手になりたい」と将来を見据える姿が印象的だった白鳥選手。その日が来るのを、心待ちにしている。
(菊)