笑顔輝くシルバーさん⑦
集中力高め的狙う
スポーツ吹矢 小山 泰夫さん(79)能代市豊祥岱
「精神を集中し、狙った的に矢が当たった時の喜びは何とも言えない」。県スポーツウエルネス吹矢協会能代白神支部長を務める小山泰夫さん(79)は、競技の魅力をそう語る。
令和2年に県社会福祉協議会が開いたニュースポーツの催しでスポーツ吹矢を体験し、「これは面白い」と早速、能代での支部設立を思い立った。しかし、コロナ禍で頓挫し、感染が落ち着いた昨年4月にやっと支部を立ち上げた。
能代高硬式野球部OBで、その後も白球を追った。400歳野球大会(北羽新報社主催)では最多優勝回数を誇る能代実業団に入り、最高殊勲選手賞を受賞したほか監督として5度、栄光の「老獅子旗」を手にした。
「還暦野球、古希野球と続けていたが、75歳くらいになり体力的にきつくなってきた。そうしたときにスポーツ吹矢を知り、これなら楽しめると思った」と言う。
スポーツ吹矢は、4~10㍍離れた直径約25㌢の的を目掛け、長さ1㍍か1・2㍍の筒に入れたビニールフィルム製の長さ約20㌢の矢を息を使って放ち、得点(的の円の中心から7、5、3、1点)を競う。競技は3分以内に5本の矢を吹き、それを4ラウンドか6ラウンド行う。2級は6㍍、初段は8㍍、3段以上は10㍍などと段・級位により的までの距離に差がある。
長く親しんできた動のスポーツである野球とは全く逆の静の競技。「野球は相手と戦うが、吹矢は自分との勝負。集中力が必要で、そこが難しい。腹式呼吸を行うことで、さまざま健康にもいいと言われる」。
同支部の会員は60代から80代まで20人。毎週木曜日、同市落合のB&G海洋センターで競技を楽しんでいる。静まり返った館内に、的に当たる矢の音と、残り時間を告げるアナウンスの声だけが響く。
設立2年目ながら各種大会の団体戦、個人戦で好成績を残しており、県大会で上位に入った同支部の男女4人が、11月に東京都の墨田体育館で開かれる全日本選手権と全国オープン大会に出場する。
「週1回では足りず、自分もそうだが、昔の家は長い縁側や廊下があり、そこで練習している人もいる」と笑顔で話す。70代半ばにして出合ったニュースポーツを満喫している。
(池端 雅彦)