お米の値段に思う

 JA全農あきたが決めた6年産米のJA概算金、あきたこまち1俵(60㌔)1万6800円。前年産比約4割増に驚きつつ、何か見覚えのある金額と思ったら、21年前、平成15年産米の仮渡し金の当初決定額と同額だった。ちなみに10年前の26年産の概算金は8500円。この落差の大きさよ。

 内金、仮渡し金、概算金と呼び方はその時代で変わったが、ざっくり言えば、出来秋に生産者に渡すコメの代金か。「1万6800円」をマークした15年産から今年産までの当初額だけ見ても、上がったり下がったりを繰り返す。

 コメをどのくらい食べるのかという需要と供給が、およその波形をつくるが、その時々の事情も影響する。例えば、東日本大震災と福島第一原発事故。22年に9千円まで落ちた米価だが、品薄感に「安全・安心」を求める消費者心理と市場の欲望が価格を引き上げた。24年は1万3500円に上昇。しかし、食べる量の実質増のない「需要」は市中在庫に化け、米価は急落。26年の8500円に至った。

その価格で、これまで通りの量を買い続けることができるか。できなければ、何が待ち受けるのか。「令和の米騒動」とも言われる状況が、真に品不足で消費の先食いなのかどうかも気に掛かる。とりあえず、農を支える購買力を持っているかと、己に問うてみる。

(渡)

関連記事一覧

error: Content is protected !!