関西から新たな住職

 能代市二ツ井町にある菩提寺(ぼだいじ)の住職が令和2年3月に亡くなり、後継者もいなかったため、同じ宗派の市内の寺院の住職が代行で檀家の仏事や盆、暮れの参拝に対応してくれていた。一方で、寺の維持会役員や周辺の寺院住職らが後継住職招致へ尽力し、今年4月に関西から移住し新たな住職が入った。

 能代山本の他の寺院でも、後継がなく近隣の住職が務めを手伝っているという話を聞く。当方の寺院は、来春に住職の子息も副住職として移住する予定で、今後の「つながり」が確保され、地区住民は安堵している。

 お盆前、自宅で祖父と祖母の回忌法要を行い、新住職と初めて顔を合わせた。読経の際、お経の本を渡され、「ご一緒に唱えてください」とのこと。知人から「今度の住職は葬式の進め方がこれまでと変わった」と聞いていたが、法要でお経を家族が唱えるのも従前はなかった。戸惑いつつも、「これはこれでいいことかも」と思った。

 法要を終え、住職と話をすると、かつて居た地と当地では、お盆の風習などさまざまな違いがあった。住職も、ここ数カ月で文化の違いを感じたこともあるようで、何より「言葉が分からない」と苦笑していた。

 毎年この時期に家々へ配られる公民館分館報に、住職が寄稿し、新たなすみかとなったこの地の豊かな自然やおいしい食材、酒に触れながら思いをつづっていた。

 移住者が文化、風習の違いで困惑するケースは多い。多くの人と接する住職となれば、なおさらだ。地元民と、互いに受け入れるものは受け入れながら、今後の「風習」をつくっていけたらいい。

(池)

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