マイナカードごり押し

 私事で恐縮ですが、マイナンバーカードを持っていない。作っていない。面倒くさい、うさんくさい、やり方が気にくわない。特に困る場面に出くわしていない、今のところは。この先、どうなることやら、とは思うけれども。だいたい、そもそも、カードは任意ではなかったか。

 カード普及に貢献したマイナポイント最大2万円分の大盤振る舞いの際、交換条件が金融機関の口座と健康保険証だった。その健康保険証は、今年12月2日以降、現行の保険証は新規発行しないことが決められ、「マイナ保険証」の利用率アップの手段と化している。

 手元の保険証が即無効になるわけではないのだが、国は「12月2日以降は」と強調する。国民皆保険制度が、命と健康に直結する医療が、当然に備わるはずの生存権が、まるで「人質」に取られたようだ。

 厚生労働省が今年1月発出した通知「マイナ保険証の利用促進に向けた更なる取組への御協力のお願い」は、11月時点の利用率の目標50%を参考に示す(ちなみに6月実績は9・90%)。医療機関・薬局向けセミナーのタイトルは「高利用率&支援金ゲットのメソッドをお伝えします」。何とも露骨な甘言というか、えげつないというか。

 スマートフォン購入時の本人確認の手段やら、運転免許証との一体化、母子手帳、介護保険証、救急業務など、「なくては困る」ものが、次の人質候補に挙げられている。「持っていれば、もっと便利」ではなく、持たない者に不便を強いるなら、それはすでに強制、強権、いや暴挙ではなかろうか。能代市のマイナンバーカード保有率は75・5%(6月30日時点)。1万人以上の市民は所有していない。

(渡)

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