輝サーモン 誇らしく

4月に秋田支社に異動となり、県政記者クラブがある県庁、長い地下通路でつながる第2庁舎のほか、県議会棟、県警本部、裁判所などを行き来しながら勤務時間の大半を過ごしている。日々の取材に右往左往しているうちに3カ月が経過。官庁街から離れた施設で開かれる会議に出向くことも多く、携帯電話のアプリが教えてくれる毎日の歩数は異動前の倍以上。冷や汗をかくのは相変わらずだが、ようやく水に慣れてきたとも感じている。

地元を誇らしく思う取材があった。5月7日、八峰町の若手漁業者らでつくる株式会社「八水」の菊地陽一社長らが、岩館漁港で養殖したトラウトサーモン「輝(かがやき)サーモン」の出荷状況を佐竹知事に報告。3年目の今季はいけすを改良したり自動給餌機を導入して生存率は9割まで高まったと、手応えを語った。「(食感が)とろっとして、脂はしつこくなくて。刺し身もいいが、切り身のバター焼きも良さそうだ」。サーモンを試食した、料理好きな知事の口も滑らかだった。

サーモン養殖事業を推進するため、県は4年度に八峰町と県漁協などと協定を締結。岩館漁港北側の分港にいけすを増設できるよう、防波堤の延伸に着手している。知事への報告には堀内町長や町職員も同行し、別室に報道各社の撮影・試食用の刺し身を用意する熱の入れよう。衰退する県内漁業に明るさをもたらす若手に対する、県や町の期待の大きさを感じた。

近くのスーパーで、またおいしい輝サーモンに出合う日を心待ちにしている。もちろん、昨年は高値でほとんど口にできなかった八森ハタハタも。

(菊)

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