ラーメン二郎に見習う
東京旅行で二郎系のルーツ「ラーメン二郎」三田本店に行った。全国で約40店舗展開する二郎の創業店で、「総本山」と呼ばれる。ボリューム満点の味はもちろん、接客の良さ、客のマナーも天下一品だった。
二郎は太麺と濃厚な豚骨醤油(しょうゆ)スープ、無料のトッピング(あぶら、野菜など)が特長。熱狂的なファンは「ジロリアン」と呼ばれ、ローカルルールも存在する。三田本店にいる創業者山田拓美氏は、功績と人柄から「総帥」と呼ばれている。
7日午前9時に到着したが、すでに長蛇の列。食べ終わった後は布巾でテーブルを拭いて丼をカウンターに上げるなど幾つもの不文律があり、二郎初心者の記者はやや緊張しながら並んだ。
1杯700円のコスパ最強ラーメン。麺の量は普通の2倍はあるが、箸が止まることはなかった。
絶品なのは味だけではない。とにかく店員の感じがいい。実はこの時、記者は1万円札しかなく焦っていた。券売機は千円札しか使えない。二郎ルールの一つに「両替は避けるように」とある。恥を忍んで店員に両替を頼むと、「ちょっと待ってくださいね」と気さくに応じてくれた。ルールは店側が一方的に強要したものではなく、二郎を愛する客側から自然発生的に生まれたのではと推測した。
客目線の店づくりが誘客につながり、満足した客が店を支える好循環。二郎の人気と特有の文化は店と客が共に築き上げたものだ。「どうだ、これが俺が作ったラーメンだ」と大上段に構えてはこれほど繁盛しなかったのではないか。
読者目線の読まれる記事とは何か考える。二郎の双方向性に見習うところは多い。
(若)