新型コロナは現在進行形
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザと同じ「5類」に変更され、今月8日で1年が経過した。そのタイミングに合わせ「新型コロナの現在地」を連載した。取材協力に感謝します。さまざまに影響は残ること、思いのほかたくましいこと、そして現在進行形の感染症であることも、分かることができた。
現状を把握する手掛かりに、毎週公表される1定点医療機関当たり感染者数がある。グラフ化すると、全国値は昨年夏と冬にピークを作る「波形」が現れた。能代保健所長を取材した際、季節性について尋ねると、「まだ1年なので、何とも言えない」との前置き付きで、「このウイルスは季節は問わないんだろうと思うけれど、年2回、『夏と冬はコロナ』になってくる可能性はありますよ」。自然感染やワクチン接種で得られる免疫が持続する期間を踏まえた解説を拝聴した。
対象は16~69歳に限られるが、感染の実態を推し量る一つの指標にはなろう。厚生労働省は献血時の検査用検体の残余血液を用いて新型コロナの抗体保有割合を調べている。直近は今年3月の第8回調査で、本県は50・0%、全国平均64・5%。ちなみに本県は初の5割到達で、全国最低。昨年5月の第3回調査と比べると本県は13㌽増、全国は21・7㌽増で、5類移行後における感染の広がりを知る。
社会全体が戦々恐々としていた時期は去り、行動制限はなく、感染対策は個人に委ねられたが、だからと言って新興感染症が、ウイルスが消えてなくなったわけではない。上手な付き合い方を見付けていきたいと思う。
(渡)