春花の風景 2024能代山本⑱

野球場のフジ(藤里町) 降り注ぐように

淡い紫の花穂が垂れ下がり、見頃を迎えているフジ棚(藤里町の清水岱公園野球場で)
淡い紫の花穂が垂れ下がり、見頃を迎えているフジ棚(藤里町の清水岱公園野球場で)

 能代山本の民家の庭や公園などで、フジの花が見頃を迎えている。淡い紫色の花をたくさん付けた枝が垂れ下がっている姿は清楚(せいそ)な雰囲気でもあり、甘く爽やかな香りも周囲に漂わせ、見る人を楽しませている。
 能代山本では5月ごろから花を咲かせるフジは、マメ科フジ属のツル性植物。ツル性のため、自生するフジは高い木などを支えとして成長することで知られ、薄い紫色のほか白やピンクなどの品種もあり、房状に花を咲かせる。
 フジを「町の花」に制定している藤里町では、清水岱公園野球場の敷地内にある長さ10㍍程度の2カ所のフジ棚で花が見頃を迎え、春空の下で来園者を楽しませている。
 同公園のフジ棚は、昭和58年に同球場がオープンした後、63年の町制施行25周年に合わせてフジを町のシンボルに制定したのに伴って整備された。
 来園者は周囲で緑を深める木々と対照的な鮮やかな色彩を見せるフジを遠目から眺めたり、近寄ってその甘い香りをかいだりして楽しみ、春から初夏へと移り変わっていく季節を感じているかのよう。週末になると野球の試合が行われてにぎやかさを増す公園で、静かに咲き誇るフジを観賞している。

(岡本 泰) =このシリーズ終わり。

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