春花の風景 2024能代山本②

素波里園地のカタクリ(藤里町) 風に揺れひっそりと

広範囲に群生しているカタクリ。少しずつ咲き出し、春風に揺れている(藤里町の素波里園地で)
広範囲に群生しているカタクリ。少しずつ咲き出し、春風に揺れている(藤里町の素波里園地で)

 藤里町の素波里園地でカタクリが春の陽光を浴びながら花を咲かせている。まだ訪れる人も少ない中、紫色のかれんな花びらがひっそりとした感じで風に揺れている。
 カタクリは、ユリ科カタクリ属の多年草。春に紫色の花を一つ、下向きに咲かせるが、草丈は高くなく、地表近くに小さく咲く花は注意して見ないと気付かないことも。きれいな環境でしか自生しない希少さや色の美しさ、独特の姿から好む人も多い。
 名所としても知られる同園地の桜の開花はまだ先だが、テントサイトなどがある入り口付近にカタクリの群生地が見られ、少しずつ花を咲かせ始めている。
 群生地は7~8㍍幅で長さ60㍍程度に及ぶが、園の入り口という意外な場所にあってあまり知られていない。春のまぶしい日差しを浴び、枯れ草を割るように伸びる緑の葉と、静かに咲く姿は上品なたたずまいでもあり、白神の山々をバックにした光景は「春の花園」といった風情。早春の素波里を訪れる人の姿はまばらで、カタクリは風に揺れてひっそりと咲き誇っている。
 カタクリはその希少さから盗掘されることがたびたび問題になる種でもあり、白神山地ふじさと観光協会は自然の群生が守られるよう、持ち去りなどをしないでほしいと呼び掛けている。   (岡本 泰)

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