ハタハタ水揚げ願う

身近な冬の味覚だったハタハタが、高根の花になってしまった。
今月中旬、県内のあるスーパーで売られていた八森産は、メス1㌔で税込み約6,500円。
年末年始は家族手製のハタハタずしを楽しみにしてきたが、今年は漬け込みを諦めたという。

県によると、21日時点の漁獲量は沖合14㌧、沿岸82㌧の計96㌧。
序盤が特に低調で、自主禁漁明け以降の最少だった平成7年漁期(143㌧)を下回る可能性がある。

県は過去の漁獲状況から、ハタハタには15年ほどのサイクルで資源の増加と減少を繰り返す周期があるとみている。
不漁要因の一つに、この資源循環の「谷底の時期」に当たることを挙げる。

県内の漁業者は一昨年から水揚げ日数を制限し、増加サイクルに転じるのを待って厳しい状況に耐えてきたが、海水温の上昇が資源回復への期待に影を落としている。
この3年間、県の調査では若い1歳魚の数が減少。
ハタハタは冷たい水を好むため、稚魚が順調に育っていない可能性があるという。

県は、昨年から岩館地区に海水温の測定装置を設置するなど、水温変化の観測を強化し、海域・水深・時期ごとのデータを積み重ねる方針。
稚魚の生育に与える影響を分析して対策の足掛かりにしたい考えだが、水産振興センター担当者は「かなりの時間が必要」と対応の難しさもにじませた。

八森、岩館地区の沿岸漁は19日に計13㌧余りを水揚げし、ようやくまとまった漁獲量を記録した。
例年なら漁の終盤に差し掛かる時期だが、八森漁港で刺し網漁を行う男性は、接岸が続くのであれば、年内は操業を続けるという。
「帰省客に八森ハタハタを味わってほしい」という言葉に、漁のラストスパートが続くよう願わずにいられない。

(川尻 昭吾)

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