再訪される魅力を

人は感銘を受けた時、その体験を再び求めたり、または深めたいと考えたりして行動に移すと思う。
旅に例えれば、再訪という動きも当てはまるかもしれない。

10月中旬、台湾の旅行会社が催行した東北周遊ツアーで台湾から約20人の旅行者が能代市の旧料亭金勇、藤里町の田苗代湿原や岳岱自然観察教育林を訪れた。

ツアーが実現した背景には、訪日外国人旅行者(インバウンド)の誘致による地域振興を目指す一般社団法人・あきた白神ツーリズムが台湾で取り組んできた能代山本に関する情報発信、現地の旅行会社関係者を招いた視察旅行などがあった。

台湾からの旅行者は黄葉期を迎えていたブナなどの森を歩き、何度も写真を撮影していた。
旅行会社の担当者は「静かで、空気が澄み、美しい自然環境が見られる場所を求める台湾の人は多い」と、白神山地を行き先の一つに選んだ理由を教えてくれた。
一行を案内した、あきた白神認定ガイドの1人は「別の季節にも遊びに来てもらいたい」と売り込みを忘れなかった。

この秋、能代山本も行程に組み込んだ台湾の旅行会社は来年の秋も同様のツアーを企画しており、ホームページで白神山地について、《享受自然生命的感動》などと紹介している。

白神山地は今年で世界自然遺産の登録から30年の節目を迎え、改めて関心が向けられる年でもあった。

麓に位置する能代山本は「また行ってみたい」と再訪を望まれ、選ばれる土地なのか。
地域資源の価値を認識し、魅力として的確に伝えられているか。
今後、どのように歩むのか。
思いを巡らせれば尽きない。
当地に暮らす者の悩みであり、責務なのかもしれない。
今年、白神山地に関する取材で、改めて考えさせられた。

(宮腰 友治)

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