連載企画の「お蔵入り」
昨年の今ごろ、新型コロナウイルス感染者数が少し落ち着いてきたので、年明けにそれぞれの現場でコロナ禍を乗り越えてきた様子を伝える連載を企画し、何人かは紙面掲載の準備ができていた。
しかし、1月に入るとこの地域で感染が広がり、状況を見ようと先送りし、その後も収束の見通しはなく、企画は「お蔵入り」となっている。
「コロナ禍で人々は…」と題し、対象は医療、福祉、企業、飲食店関係者などを予定、自分は葬祭業と美容業界の取材を担当し、原稿を仕上げていた。
ジェイエイ山本葬祭センター長の保坂昭子さんは、感染拡大防止のため、遠方の親族が葬儀に参列できなかったり、人数が制限され、知人の別れの場面に臨めなかったりしたことを憂い、「早く、みんながきちんとお別れができるようになってほしい」と願った。
県美容生活衛生同業組合能代支部長の加藤妙子さんは、成人式や年祝い、結婚式など「晴れの日」の催しがなくなったこと、着付けなどで関わる日吉神社の「嫁見まつり」が中止されたことを残念がり、「早く不安がなくなる日がくれば」と語った。
思い通りにとはまだ言えないが、葬儀は望む人がその場面に立ち会えるようになり、成人式や嫁見まつりも復活した。
いつか、また2人に補足取材し「コロナとの戦い」の苦労を紙面に掲載できたらと思う。
ここにきて感染者がまた多くなった。
対策を講じていても、いつしか陽性になっていたケースも多く、コロナが身近にあることを痛感させられた。
行動制限もなくなり、この年末年始は多くの帰省者でにぎわいそうだ。
コロナ禍ではあるが、少しずつ日常が戻ってきている。新年は、「ウイズコロナ」の時代をしっかり捉えていきたい。
(池端 雅彦)