ルビーのルビは

原稿を校正していて、悩むのが漢字のルビの扱いだ。

北羽新報の記者が参考にしている「用事用語ブック」(時事通信社)には、「言い換え、書き換えが難しい語は、平仮名で読みを入れる」とある。
例を挙げているが、知りたい全てが網羅されているわけではなく、「これは難読」と思われる漢字、または固有名詞などにルビを振る、振らないは自ら判断しなければならない。

ルビは、宝石の「ルビー」が由来。
19世紀後半のイギリスでは、活版印刷に用いられる活字は大きさでダイヤモンドやパール、エメラルドといった名前が付けられており、日本で振り仮名に使われていた活字の大きさと、ほぼ同じだったルビーがルビと呼ばれるようになったという。

宝石が語源とはいえルビを、あまりにちりばめ過ぎると見た目が美しくないし、親切のはずが字が小さくて読みづらいのではないかと心配する。
かといって漢字を平仮名に開いてばかりだと、読者を下に見ているようで気が引ける。

用事用語ブックによると、読みが必要なのは「安堵」「画竜点睛」「百花繚乱」「醍醐味」「爬虫類」「鬱積」「辣腕」「汎用」「冶金」「要塞」…。
書けなくても読める漢字はあるし、読めなくても文脈から何となく理解できるものだってある。

そのため、ルビを添えたり、平仮名にしたりする必要があるのかなと思うような漢字も多い。
例えば、この時期の原稿によく登場する「ハタハタ寿司(ずし)」「大晦日(みそか)」「干支(えと)」など。

しかし、自分にとって簡単で当たり前でも、それが皆一緒ではない。
読者の中には子どももいるだろう。そう考えながら、原稿と向き合うものの、何とも悩ましい感じ。
ちなみにルビーは「紅玉」と書く。

(工藤 剛起)

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