移住者に手厚く

普段取材している相手が、実は元地域おこし協力隊員だったということが増えている。
都市部から地方に人材を招き、可能なら任期終了後もその地域に定着を──という狙いは少しずつ達成されているのだと感じる。
加えて、地域おこし協力隊とは無関係に、能代山本に移住してきた人も意外に多いとも実感している。

その中で特に興味を引かれたのは、収穫されないままの柿を持ち主に代わって収穫して商品化しようという、「畑のない農家」の男性。
本紙でも紹介したが、家主が高齢になったため放置されたままの柿、道路脇に立つ木など、手付かずの柿の実を、所有者に代わって収穫して加工品として販売しようというもの。
収穫できないのであれば、獣を呼び込むよりはと提供する所有者も多いという。

事業を始めた農家本人も、商売になるにはまだまだと話すように、将来これが軌道に乗るかどうかは不透明。
ただ、どういう結果になるにしろ、アイデアを持って行動しようとする人には力を貸してやりたい。
そしてその前に、それを「面白い」と思う土地柄であってほしいとも願う。

先日、ANA(全日空)の機内誌に、ドイツに移住した日本人女性の手記が掲載されていた。
それによると、ドイツ人は移民・移住者に対して、行政手続きや職探しなど、時には自己主張が強いほど世話を焼くのだとか。

ひるがえって我がふるさとはどうか。
国策レベルの移民政策を進めているわけでない。
その代わりといってはなんだが、移住者にもっと手厚いサポートがあってほしいと思う。
それは行政が用意する各種支援とは別の、地域の気風だったり、寛容さなどであってもらいたい。
「土地柄」こそが、そこに移住し、定着する決め手になると考えるから。

(岡本 泰)

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