3年ぶり復活に思う
新型コロナウイルスの感染拡大で2年連続で中止になっていた能代山本の多くの夏祭り行事が今年、3年ぶりに復活した。
7月の「能代の花火」、8月の「こども七夕」、「能代七夕・天空の不夜城」をそれぞれ取材。
各種感染対策は余儀なくされながらも、コロナ前の元の形に戻る第一歩を踏み出せたことに関係者は皆、感慨ひとしおの様子だった。
ただ3年というブランクは運営側にとって思いの外、影響が大きかったようで、天空の不夜城関係者からは「初めて運行に関わるスタッフも多く、一から作り上げるようなものだった」との声が聞かれた。
またこども七夕は、休止を重ねる間に各子ども会で少子化がさらに進行したり、灯籠の製作技術を持つ大人も不在となったりしたことで、参加辞退が続出。
エントリーした灯籠数は12基と、3年前の24基から半減した。
それでも主催するNPO法人青年クラブのしろは、「今年も中止では、こども七夕の伝統と文化自体が失われてしまう」との危機感から、中止要請が行政側から出されない限り開催すると事前に決定した。
関係者は「すべては子どもたちに楽しい夏の思い出を提供するため。灯籠は少なくても、来年以降も開催していく」と前を向く。
人口減少、少子化で地域が「縮小」を続ける中、夏祭りもさまざまな苦難に直面している。
祭りへの参加者だけでなく、運営側も人手不足・人材不足の問題を抱えており、継続には体制の強化、担い手確保が急務だ。
祭りは見る人の心に、地域社会に「潤い」をもたらす大事な文化。
危機に対し、当事者以外が「傍観者」でいては、その灯はいずれ消え去ってしまう。
開催継続、伝統の継承に、さまざまな「支援」が広がっていくことを願う。
(平川 貢)