列車は観光資源
鉄道開業150年の今年、能代山本を通るJR奥羽本線では、さまざまな臨時列車が走り抜けた。
機関車が客車を引く「客車列車」では、急行「津軽」や「DLレトロよねしろ」、団体ツアー客を乗せる豪華寝台列車「カシオペアクルーズ」が運行。
沿線各地には列車を一目見ようと、県内外から多くのファンが訪れた。
秋田地区の客車列車は、普通列車で使われる701系電車が平成5年にデビューするまで現役。
その後も寝台特急「日本海」や「あけぼの」などが行き来したが、26年までに定期運行を終えた。
現在でも、東日本エリアでは「鉄道産業文化遺産の保存と活用」を掲げる東武鉄道の「SL大樹」(東武鬼怒川線ほか・栃木県)をはじめ、JR東日本の「SLぐんまみなかみ/うすい」(上越線、信越線・群馬県)や「SLばんえつ物語」(磐越西線・新潟、福島県)、津軽鉄道、秩父鉄道、真岡鐵道といった私鉄各社でも運行しており、世代を超えて人気を集めている。
各社や沿線自治体では、列車を単なる「移動手段」としてではなく、「観光資源」として価値付け、駅構内の転車台や車庫が見学できる広場、資料館を整備したり、ツアー商品や鉄道古物のオークション販売、イベントの開催などを展開。
観光客が目的を持って駅に降り立ち、地域を観光できる取り組みを進める。
一方で、全国有数の観光路線の五能線と、起点の能代市はどうだろうか。
日本海の絶景だけではなく、「能代の○○を見たい、楽しみたい」と、東能代駅や能代駅で下車する観光客はどれほどいるか。
今夏の大雨被害を乗り越え、23日に深浦─鯵ケ沢駅間の運転、24日には「リゾートしらかみ」が全線で再開する予定。
これを機に、「鉄道ツーリズム」を含めた観光の在り方を見詰め直したい。
(藤田 侑樹)